サブスクリプションファイナンス

サブスクリプションファイナンスの基礎

サブスクリプションファイナンスとは?

サブスクリプションビジネスは、将来を見越してどう計画するかが必要であり、過去の集計を写し出す一般会計原則(GAAP)に基づいた財務指標、伝統的な損益計算書だけでビジネスの成否を判断することはできません。伝統的な会計モデルで、1回毎のプロダクト販売取引に慣れているCFOは、長期的な定期収益、リカーリングをベースとした顧客中心のビジネスモデルにおける指標を理解する必要があります。

一般会計原則に基づいた指標では評価できない

会社全体としては、まだサブスクリプションモデルに移行していなかったとしても、この新たなビジネスモデルにおいて、「伝統的な損益計算書では評価できない」という決定的な事実を認識しておく必要があります。500年間の歴史を持つ会計の基礎である複式簿記では、サブスクリプションビジネスモデルの基本である動的に出たり入ったりする金額、継続的な収益関係を捉えることができません。また、繰り返し入る売上と、プロダクト販売の1回限りの売上を区別して管理できません。費用も同じです

サブスクリプションビジネスモデルを展開する企業は、従来のプロダクト販売企業とは根本的に異なる指標で考えます。 
例:
  • 一度限りの収益と今後も入り続ける定期収益では、まったく異なる価値を持つ
  • 過去だけでなく将来も含めて、時間を複数の次元でのビジネス評価が必用
  • 月中の解約や休止など、プロセスに影響する複雑な変更を管理し、その結果、クレジットや返金などによる収益認識への影響も考慮が必用

結果として、サブスクリプション・エコノミーへの移行は、定期収益、リカーリングを扱う準備ができていない経理部門に大打撃を与える可能性があります。なぜでしょうか。なぜなら、ERPを含め、現在存在するすべての会計システムは、複式簿記のルールに基づいて構築されているからです。つまり、会計システムは総勘定元帳としては優れているが、それ以上のものではないということです。

CFOやそのチームは、帳簿を締めるために長い作業時間を必要とし、大変な負担がかかっています。これは、多くの収益管理チームにおいて、顧客ごとに1行設ける必要があり、収益のデータが多数の列に分散されていることから、エクセルシートに含まれる大量のデータに圧倒されてしまうためです。監査役提出用と、事業管理のために2つの一般会計原則台帳を仕方なく管理しているCFOもいます。

経営陣であるCEOや取締役員は、貸借対照表と損益計算書にはないような詳細な分析情報を求めています。つまり、ARRやチャーン(解約率)、ACVといった、将来を予測する知見を必要としています。Zuoraは、一般会計原則に則らない、貸借対照表には現れないこのビジネスモデルにおける指標に注目して成功を評価することがますます重要になっていると感じています。さらに、これらの定期収益ビジネスモデルへの注目度は高まっている一方で、米国や日本投資家の多くはサブスクリプションビジネスモデルを完全に理解しておらず、このビジネスを正しく評価できないことがよくあります。

サブスクリプションビジネスはあらゆる業種で加速

顧客ニーズの変化とともに、サブスクリプションエコノミーの規模は拡大しており、ファイナンスもより様々なビジネスモデルに適応していかなければなりません。インターネットアクセスの普及、モバイルデバイスやソーシャルネットワークの急増にともない、ますます多くの顧客が自分自身のニーズにあわせて選択肢するようになりました。そして、自身が望む方法、場所、時にサービスが提供されることを望んでいます。 Zuoraでは、社員一人ひとりが新たな指標、モデルを実践しています。このガイドは、定期収益、リカーリングモデルのファイナンスに精通した社内専門家によって編集されており、Zuoraのユニークなビジネスモデルがどのようにビジネスの世界を一変させるのか、CFOの責務の進化にどう適応(反応ではなく)すればいいのかを理解する出発点として最適です。続きを読む
詳細については、Zuoraにお気軽にご相談ください。

サブスクリプションビジネスの損益計算書

まだ自宅で始めたばかりのスタートアップでも、新たなビジネスモデルへの変革に取り組むエンタプライズ企業でも、サブスクリプションエコノミーはビジネスを全面的に変えます。さまざまな顧客に対して一定間隔で提供していくプロダクトに集中する代わりに、長期的な顧客との関係を築くイノベーティブなプロダクト・サービスの提供にビジネス戦略を変えなければなりません。したがって、サブスクリプションエコノミーでは、1回限りで完結する単発販売ではなく、予測可能な定期収益のために関係をマネタイズして維持することが重要です。 また、ビジネスの評価指標として、売上を細かく計上していた従来の世界から、関係の収益化に重点を置くこれまでにはなかった世界に移行するという理解が必要です。
サブスクリプションビジネスの背後にある基本方程式:
ARRn + ACV – Churn = ARRn+1
Blurred motion of a crowd of busy commuters with protective face mask walking through platforms at subway station during office peak hours in the city

ARR / MRR

年間定期収益(ARR)または月間定期収益(MRR)とは、既存のサブスクリプション契約を通じて得られる1年分または月分の収益額額です。いたってシンプルです。注意点として、1回限りの売上は含まれず、継続して発生する収益のみが算入されます。つまり、ARRは過去ではなく、今後も見込まれる売上に注目した数値です。ARRでは「定期」という点が重視されます。

ここで問題になるのは、従来の財務諸表には過去の期間の収益のみが示され、将来の定期収益の概念がないことです。しかし、サブスクリプションエコノミー企業にはARRという概念があるため、各会計年度の期初に、その年の収益がどうなるのかを予測することができます。上の式では、これをARRnと呼びます。

チャーン

解約や、契約変更によって減少するサブスクライバーの数であり、多くは売上のことを指します。

厳しい現実ですが、市場で最も優れたサービスを提供していても、一部の顧客が離れていくことは避けられません。そのため、この方程式では、その年のARRからチャーンを差し引く必要があります。

ACV

年間契約価値(ACV)とは、新規顧客による契約や購入、既存顧客によるクロスセル、アップグレード、または既存契約の更新により増加した売上のことです。企業は売上を増やすために販売とマーケティングに投資します。最終的にARRの増加につながるからです。誰もがそれを目指しています。 これらの指標をすべて照らし合わせると、サブスクリプションビジネスにおける業績の全貌が把握できるだけでなく、来年度の定期収益や年度末の定期収益も予測できるようになります。 さて、ここまででサブスクリプションビジネスモデルが理解できたと思います。ARRn – Churn + ACV = ARRn+1 でしょうか?しかし、現在使用しているERPのシステムは、関係の育成と収益化に基づく新しいモデルをどのようにサポートしていますか。 一方、定期収益の評価は、将来の収益を予測するプロセスです。サブスクリプションビジネスで指標について言えば、従来のシステムではその全体像を把握することが単純にできないのです。たしかに、予約数、ビリング、入金実績、収益といった財務指標は従来の商取引でも判断できましたが、それらは過去の実績を見るものであり、1回限りで完結する取引に重点を置いていました。それでは、それらの制限のいくつかを見てみましょう。

サブスクリプションエコノミーでは、1回限りの関係ではなく、よりコミットした関係が重要

リカーリングレベニュー、定期収益は、契約した顧客と長期的に関係を継続することにより生み出されるものです。この関係は、一方通行ではなく、顧客とベンダーの双方向になります。契約関係は常に注力する必要がありますが、1回限りの購入は一時的で、取引ベースです。

そのため、企業は1回限りの取引関係とは異なるやり方で、リカーリングレベニューを把握できる必要があります。しかし、従来の会計の考え方では、1回限りの取引と顧客との継続的な関係を基本とした取引を区別する方法がわからないため、この2つをひとまとめにして、同じように扱う傾向にあります。

サブスクリプションエコノミーでは、時間の経過とともに関係が進化していくのです。人、顧客、ビジネス…。普遍的なのは、変化するということだけです。成熟に向かい、環境が変化するうちに、ニーズや要望は絶えず変化します。ですから、顧客のニーズや要望に対応できるように関係も進化する必要があります。

そのためには、価格やプラン、サービスメニュー、パッケージについて、繰り返し変更できる必要があります。しかも、その変更は、顧客が離れる前に、迅速に行う必要があります。一方、それは経理・財務部門にとって大きな負担となる可能性があります。価格設定やパッケージ内容を調整するたびに、システムでこれまで使用していなかった在庫保管単位(SKU)を使用する必要があるかもしれません。また、複数の期間で処理をする場合は作業が極めて困難になる可能性があります。

実際、従来の経理・財務システムでは、時間とともに変化する一連の取引情報をどう展開させればいいかわからないため、単純な負債や控除として扱うように制限されます。また、「システム」がエクセルの手集計の場合、複数の時間的次元にわたって、予約、請求、現金、収益といったものの変更がビジネスにもたらす影響を無事追跡できることを祈るしかありません。

顧客との継続した関係維持における意思決定が全体プロセスに影響

顧客がサブスクリプションを月半ばでキャンセルすると決めた場合、それがスイッチを切り替えるような簡単なことだとは思わないでください。このような複雑な変更は、下流のプロセスで混乱を招く恐れがあり、収益認識に直接影響を及ぼします。特に、顧客が大きな変更を行うたびに、それを手動で管理していれば、その影響は甚大です。

顧客ニーズの変化、顧客との契約内容の変更にすぐに適応して、そのアカウントやビジネス全体への影響を自動的に計算できる必要があります。しかし、従来の会計システムの中心機能は、ソフトウェアサービスではなく、実体のあるプロダクトの追跡にとどまっています。従来の会計システムは強力なルールエンジンではありません。また、サブスクリプションの変更にリアルタイムに適応して、その変更の影響を受けるあらゆる予定を再計算できるほどスマートでもありません。

制限は誰にとっても苦痛である

やがて社内の全部門が従来の財務システムの制限による影響を感じるようになり、この苦痛はCFOのオフィスのはるか先まで広まります。
  • 経理部門は、月末締めの記帳を間に合わる必要がある
  • エクセルの大量のデータの収益認識いは限界がある。
  • ビジネス事業部門は、経理部門の負担が大きいことから、新しいパッケージ化や価格設定の導入が難しくなる
  • CEOは、投資家や株主へ自社の成功についてなかなかうまく説明できない
  • そして最後に、CFOは、監査人を満足させるためのGAAP帳簿と、ビジネスを経営するための帳簿を別々に管理することを余儀なくされる。.
サブスクリプションビジネスの核となるのは、お客様との関係です。しかし、顧客との関係を管理する方法を見直し、改革するためには、新しいサブスクリプションエクスペリエンスと新しいカスタマージャーニーを提供し、サブスクリプションファイナンスだけでなく、商取引やビリングも含めて統合的にアプローチするパートナーが必要です。
Photo of a person doing calculations on paper

Journey to Usership(ユーザーシップへの旅)

収益化および事業拡大を実現する
フレームワーク

サブスクリプション成功へと導くフレームワークをご紹介したe-bookです。成功パターン、避けるべき落とし穴、そして他の企業が活かせる教訓などを本e-bookを通してご説明します。

世界の企業がZuoraを活用

Zuoraがバックグラウンドで稼働しており、ヘルスケア業界や医療従事者のニーズに合わせてダイナミックに進化するサービスをベースとして、お客様に持続可能な価値を提供する準備ができています」

– Rahma Samow

Siemens Healthineers デジタルヘルスグローバル部長
Photo of a man laying on an MRI machine

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Zuoraは業界のリーディングカンパニーとして、専門家やお客様、そしてパートナーと協力し、「Subscription Economy(サブスクリプションエコノミー)®」の浸透を推進し続けています。

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あらゆるプロセスで動的にお客様を育てます。

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Knowledge Center (en)

サブスクリプション時代にビジネスを成長させる方法をご紹介します。

The Journey to Usership
成功へと導く鍵が
ここにあります

顧客のニーズ、利用形態が変われば、それに合わせてビジネスを進化しなければなりません。Zuoraが提供するSubscription Economy®ソリューションはこれまで、グローバル規模で、最先端のサブスクリプションビジネスを数多く成功に導いてきました。

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